文書情報管理も本格的なデジタル時代に突入 ノーコード開発 ワークフローツールを使いこなそう!

コラム
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2020年4月に新型コロナウィルス(COVID-19)に対する緊急事態宣言が発出されてから、2年半が経過し、いよいよ「With コロナ」の段階に入ってきました。 以前は、紙書類・帳票が、幅を利かせていた事務所内も電子文書への以降が始まっていることと思います。

コロナ前は、社内文書のオーソライズには、紙書類・帳票に職印(日付つき)を押印していましたが、皆さんの職場では、どのようにされていましたか。今回は、ノーコード開発のワークフローツールの利用をお勧めするとともに留意点を紹介させて頂きます。

“With コロナ時代 “紙文書から電子文書への移行のポイントはワークフローツール

コロナ感染症対策ということで、押印廃止によるテレワークの推進ということで、「電子契約サービス」が、着目され、徐々に利用も広まっています。しかし、現実の事務所での処理件数からすると、契約書よりも、社内書類、帳票の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

コロナ前から、ワークフローツールの利用もある程度、広まっていましたが、その適用範囲は、経費精算・旅費精算・通勤費精算、勤怠管理など全社一律の総務・人事関連業務に限られていることも多かったと思います。

“With コロナ時代“ということで、押印廃止、テレワークの推進のために、一般業務にもワークフローツールを検討、導入されている企業も増えています。

ここで、一般業務の文書・帳票を、紙で処理した場合とワークフローツールで処理した場合、その中間として電子メールで処理した場合について、下の図1,図2,図3に整理してみました。

図1 紙を使った処理の場合

図2 電子メールを使用した処理の場合

図3 ワークフローツールを使った処理の場合

図1は、紙を使った処理の場合です。もちろん、テレワークでは運用できません。また、各部署で依頼文書の写しの保管も行われます。 図2のように、電子メールを使用すれば、紙に押印する必要はなくなり、テレワークは実現できます。そうは言っても、承認記録を依頼文書につけるため、添付ファイルをダウンロード/アップロードし、職印(デート付き)イメージを貼付けなどの煩雑な作業があります。そのため、電子メールを使った処理は、運用面で負荷が高くなってしまいます。

図3のワークフローツールを使った処理の場合は、図1の紙を使った処理の場合、図2の電子メールを使用した処理の場合に比べると、運用は大変軽くなることがわかります。特に、その記録は、ワークフローシステム内で共有されますので、個々の部署で写しを保管する必要がなくなるところも便利になります。

2.ノーコード開発で導入が容易になったワークフロー

経費精算・旅費精算・通勤費精算、勤怠管理など全社一律の業務については、それぞれの用途向けに完成度が高いワークフローツールがパッケージ化されており、関連する部門もIT部門と総務・人事部門等と限られていたため、コロナ前から比較的導入は進みやすかったと思います。

一方、“With コロナ時代”では、全社各部署の業務をワークフロー化することが必要で、その量からすると、とてもIT部門が全面的に対応できるものではありません。この課題を解決すべくワークフローツールを提供すり各社では、ノーコード開発でワークフローの設定ができるように進歩を遂げています。ノーコード開発ですので、プログラミングなしでドラッグ&ドロップの手法などで、ワークフローフォーム(画面等)やフロールートの設定ができるのです。

3.野良ワークフローを蔓延らせないことが大切

各部門でのワークフローの設定方法の技術習得、これがないと何事も始まりませんが、IT部門以外の現場部門主体で、ワークフローを利用していく時に、会社組織として、留意しておかねばならないことがあります。それは、会社組織として管理できていないワークフローを蔓延させないことです。

あなたの会社では、誰が作ったのかよく知らないまま使っているExcelのツールはありませんか。どういう仕様で作ったのかも詳細にはわからない。OSやEXCELのバージョンアップがあったらメンテナンスできないものです。このようなEXCELは「野良EXCELツール」などと呼ばれていますが、会社組織としては、このような状態にしてはいけないという例として認識頂ければと思います。会社組織として、管理できていないワークフローをここでは、「野良ワークフロー」と呼びます。

(1)野良ワークフロー蔓延による困りごと

ノーコード開発が可能なことにより、誰でも作れるため、放置すると管理がままならなくなります。
さて、管理がままならない、すなわち「野良ワークフロー」が増えるとどんな困りごとが起きるのでしょうか。以下に例をあげてみました。ワークフローのフォームとフロールートの設定したセットをここでは、ワークフローアプリと呼びます。


野良ワークフローアプリ蔓延による困りごと(例)

①ワークフローアプリの責任者が不在となりがち
(従来は、IT部門・主管部門が責任者となっていた)

  • 問題発生時の対応ができない
  • どのワークフローアプリを使っていいかわからない、利用していないワークフローアプリが放置される。
  • 必要なメンテナンスを行われない

②ワークフローアプリの品質が十分ではないリスクがある。
(従来は、IT部門・主管部門で十分テストを行っていた)

  • メインのテストは実施するものの利用頻度の少ないルート、項目のテストが漏れて不具合が発生する。
  • ワークフローバージョンアップ時に不具合が発生する。

③ワークフローツールの機能を活かせていない
(従来は、IT部門がワークフローツールの機能を把握していた)

  • 使いづらい、もしくは、効率が悪いワークフローアプリになっている

(2)野良ワークフローへの対応

上記のような困り事の発生を防ぐにはどうしたらいいでしょうか。
以下に、その基本的な対応指針をまとめましたので、紹介いたします。


野良ワークフローアプリ蔓延による困りごと(例)への対応策

①ワークフローアプリの責任者が不在となりがち
対応策)

  • IT部門がワークフローシステム管理者となる。
  • 各部門のワークフローフォーム作成権限、フロールート設定権限は、IT部門への申請制とする。
  • 各部門の業務責任者にもワークフロー画面作成権限、フロールート設定権限を持たせる。
  • IT部門から各部門の責任者に対し、定期的なワークフローアプリの棚卸を行い不要アプリの利用を停止する。

②ワークフローアプリの品質が十分ではないリスクがある。
対応策)

  • ワークフローアプリのテストの基準またはガイドラインを作成する。
  • ワークフローアプリのテスト環境を持ち、バージョンアップ時にも必ずテストするよう義務づける。

③ワークフローツールの機能を活かせていない
対応策)

  • IT部門に各部門のワークフローアプ開発相談の窓口を設ける

4.ワークフロー化の効果

ワークフローは、一旦、ワークフローの利用が始まりますと、生産性が格段にあがります。ワークフロー化の効果は他にもあります。それは業務の見える化、属人性・無理の排除です。

ワークフロー化することで、処理の流れや内容が、フォーム設定やフロー設定という形で可視化されます。

それまで、曖昧で都度、適当な対応をして属人的になっていたとしても、ワークフロー化することで、可視化されます。 また、部下がいつも苦労していたところが、明確となるので、上司も適宜、な判断を行えるようになります。

処理内容が見えてきますので、ここをこうしたら、ああしたらという具体的な改善策も出しやすくなります。

5.まとめ

ワークフローツールが進歩し、ノーコードでワークフロー設定ができるようになってきています。誰でもとはいいませんが、社内のあらゆる部署で、自部門・関連部門対象のワークフローフォーム、ワークフロールートを設定し、利用できるようになって来ています。

それだけに、属人的な対応となり、メンテナンスすらできなくなることは避けなければいけません。ワークフローは組織として業務を行うツールです。部門管理者が、その内容の責任を持ち、「野良ワークフロー」化させないことが必要です。また、IT部門と協調して活動することで、有効に利用しましょう。

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