オフィスで簡単利用、10年以上記録保存可能なデバイス、媒体が登場! ~第3回 書込み後の自動品質チェック機能の追加  ~

コラム
BD-R

「オフィスで簡単作成、オフィス環境で楽々10年以上保存」シリーズの第2回目は新型BD-Rに採用された改ざん、隠蔽防止の追記型ファイルシステムについて説明しました。第3回、第4回(最終回)も、アーカイブ用BD-Rを取り上げます。


パイオニア株式会社が、2023年1月24日からJIS X 6257:2022 規格(長期データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システムの運用方法)、グレード100(100年保存)に準拠した新方式のアーカイブ用BD/DVD/CDライター「BDR-WX01DM」、および、アーカイブ対応BD-Rディスク「IPS-BD11J03P」の発売を開始しました。

第3回では、新方針BD-Rで実現している書込み後の自動品質チェックの有用性について説明します。

なお、今回の記事はパイオニア株式会社様のご協力をいただきました。

JIIMA認証の意義

2015年 公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(略称:JIIMA)がアーカイブ用光ディスク製品認証開始するまでは、長期保存のためのCD-R/DVD-Rドライブ/ディスクの選定ノウハウが国内で共有されていませんでした。ともすれば、ユーザーは、長期保存に向いていないディスクやドライブを選択してしまい、短期間にデータの読出しが困難になってしまうこともありました。このため、長期保存に対する光ディスク全般の信頼感を失うことにもつながっておりました。

そこで、JIIMAでは、アーカイブ用途(電子データを30年以上保存する)向けに、光ディスクとドライブの組み合わせを検証し、十分な品質を確保できる組み合わせについて認証することとし、ユーザーに安心感を提供しました。

データを長期間保存するには、アーカイブ用光ディスク製品を用いるだけでなく、作成時や保存では、JIS Z 6017に規定された方法に準拠する必要があります。下図は、JIS Z 6017:2013から抜粋しています。

ポイントは、ディスクにデータを記録した後、その記録品質を検査するというところです。
CD-R,DVD-R、従来方式のBD-Rドライブでは、ドライブ自体に品質検査の機能が備わっていなかったために、データ品質検査用のドライブを別途用意して確認していました。

一般事務所での利用に対するハードル

従来のCD-R,DVD-R,BD-Rでは、記録したディスクを記録したドライブとは別の検査用ドライブに差し込んでデータの品質をチェックする必要があります。

実作業としては、次のような作業が必要でした。

  • ① 上図のようなデータ検査用ドライブにPCを接続し、測定用の専用アプリをインストールする。
  • ② ディスクにデータを記録し、ディスククローズ処理を行う。
  • ③ データを記録したディスクをデータ検査用ドライブに挿入し、測定アプリでデータエラーレートを測定する。
  • ④ 測定アプリの品質チェック画面で、長期保存の可否を判断する。

このような手間や知識が必要なことも、一般事務所での利用の妨げになっていました。

DM for Archive で自動品質チェック

新BD-Rドライブでは、「DM for Archiver」 というライティングソフトを採用しています。DM for Archiverは、ブルーレイに標準搭載された代替処理(Defect Management)機能での品質検査レベルをJIS X6257に準拠するレベルに引き上げるDM for Archive 方式を採用しています。

すなわち、DM for Archive方式では、下図のように、記録時は“記録”と“記録品質確認”を一連の動作で実行します。この記録品質確認で、推定寿命30年のJIS X6257の品質基準を満たさないと判断した場合、予め確保しておいた代替エリアに代替記録されます。この代替記録により、JIS X6257に準拠する記録を確実なものとしています。

これまでのBD-Rも代替処理(Defect Management)機能を利用しておりましたが、その品質チェック基準は、通常の読み取りレベルと同じでした。これに対し、記録後の読出し時は、データ品質をJIS X 6257の基準でチェックできる機能をドライブに追加しています。

これにより、記録後の品質検査を自動化し、一般事務所での利用をしやすくしました。
もちろん、JIIMAのアーカイブ用光ディスク製品認証も取得しており安心です。

最終回につづく

新方式のBD-Rドライブ、ディスクでは、JIS Z 6017 で規定される長期保存環境 温度 10~25℃、湿度40~60% においても保存寿命は30年を超えた100年に達しています。しかしながら、長期保存環境は一般事務所の環境と比べると厳しい条件です。一般事務所で機器を使用する立場からすると、一般事務環境で保存した時の保存寿命についても知りたいところです。最終回はこの内容についてご説明いたします。

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