【後編】残すデータ、残さないデータ。あなたはどう選ぶ?~気づかぬうちに溜まる仕事のデータ~

コラム
データ整理

前編から少し時間が空いてしまいました。

前編ではまず、日常生活における身近なデータに関して事例をあげ、それぞれ確認しました。
後編では、日々多くの資料やデータを扱う仕事上でのデータの管理について取り上げます。毎日PCと対峙する仕事であるからこそ、気づかないうちに多くのデータが溜まっていきます。日々溜まるデータをどのように扱っていけばよいのでしょうか。残すデータ、残さないデータの線引きはどのように判断していけばよいのでしょうか。判断するには何が必要なのか、検討していきます。

残すデータ、残さないデータをしっかり区別する目的

いつの間にかデスクトップにアイコンが溜まっていた、容量が多くなりPCの起動が遅くなっていた、など経験はないでしょうか。
またデータが溜まるだけではなく、日々の”データ探し”に困っていないでしょうか。過去の資料を参考にしたいけれど、それがどこにあるのか分からず探すのに時間がかかってしまったなど、経験はありませんでしょうか。探し出すことに時間を割かれてしまっては作業効率も下がります。
そのため、探す時間を短縮する、ことがポイントとなります。そのためには、データをしっかりと管理すること、整理整頓することが重要となります。

ところでこの”整理整頓”。普段、何気なく使っていると思いますが、厳密には整理と整頓、意味が全く異なります。

整理は、必要なモノと不必要なモノを振り分け、不必要なモノを捨てること、です。
整頓は、必要なモノを使いやすいように配置し、置き方を工夫すること、です。

大量の放置されたデータをきちんと仕分けするとなったとしましょう。まず、「残すデータ」「残さないデータ」の振り分けを行わなければなりません。この部分は、ここでいう、”整理”にあたりますね。ただ、ここで終わりではありません。必要な「残す」データが判明したとしても、それをとりあえずどこかに置いておく、だと意味がありません。

したがって、整頓が必要となります。”整理”があって、”整頓”がある。また同じように、”整頓”する際には、必要なモノが分かっていないといけません。このように、両者はきってもきれない関係です。
まずは、「残すデータ」「残さないデータ」を仕分けする。そうすることで、整理につながり、“探す時間”も短縮することが可能となります。結果的に、業務効率のUPに繋がります。

”整理”の方法は?

では整理とは、どのような手順で行えば良いのでしょうか。

(1)出すー整理する対象を出し、決める
まず、全体の量を把握しましょう。たとえば、デスクの引き出しを整理整頓するなら、引き出しの中身に何があるか把握しなければ、捨てるものも選べません。

(2)分ける
目の前にあるものを眺めて、必要なものとそうでないものに分けていきます。
ここが、難しいところですね。ではなぜ、難しいのでしょうか。それは、

  • ・いつか使うかもしれない、という念のため精神
  • ・残すモノ、残さないモノの基準が分からない
  • ・目標が良く分からない
  • ・削減を効率的に進めるための手順が分からない

などの理由があげられます。
削除手順が良く分からないけれど、データが溜まりすぎたから何かを削除しないといけない。なのでとりあえず使いそうにないものを削除するという、”とりあえず”削除を行っていませんか。自分にとっては不要なデータでも、もしかしたら、会社として残しておかないといけないデータかもしれません。

―残すデータ、残さないデータを分ける前に確認・実施した方がよいこと

 “とりあえず削除”を行わないために、以下を確認しておきましょう。

残すモノ、残さないモノの基準が、所属の組織内で既に示されているかもしれません。したがって‥

(1)組織の文書管理ルールを確認する
組織では様々なデータを扱いますが、その中には法律で保存しなければいけない文書がありますし、コンプライアンスのために残さないといけないデータ、さらには訴訟対応、説明責任やリスク管理などの重要性も高まり、長期保存が必要なデータもあります。
したがって、組織には何らかの書類の管理や廃棄のルールがあるはずです。
自分のみの判断でとりあえず削除するのではなくて、組織のルールを確認し、残すデータ、削除するデータを選択しましょう。

削除を効率に行うための第一歩として、以下も大切です。

(2)個人文書と共有文書を区別して判断する
個人のPCなどに置いている文書などの個人の書と、社内の他の人と共有する共有文書は区別しないといけません。文書を作成している段階は個人のPCで保存するかもしれませんが、資料が完成したら、共有文書として社内共通の保管場所に保存しておきましょう。
また、一人一人が日ごろから文書を共有する意識を持てば、メンバー同士の連携やコミュニケーションが活発になり、結果として業務効率も上がります。

さらに、文書のフォルダ分けルールも大切です。
共有文書の保存の際にも、版管理やフォルダ分け、名前つけのルールが必要です。会社によってルールはそれぞれ異なると思いますが、このルール決め、が重要です。
たとえば、データ保全推進研究会所属企業の社員の方にお話しを聞いたところ、フォルダ管理のコツとして、「大分類」「中分類」「小分類」のツリー構造で3階層までに収めるように心がけているとのことでした。ここでは、分類できないファイル用フォルダも作っているとのこと。
ファイル名も、一定の規則性に則して付けています。たとえば、ファイル名に「項番号」「カテゴリ」「固有名詞」「日付情報」「バージョンNo」を含めて付けることで、規則正しくファイルが整列するとのことでした。

以上のように、個人文書と共有文書を分け、さらに共有文書だけではなく、個人文書でもしっかりとフォルダ分けすることで、残すデータや削除するデータの見分けを付けやすくすることができます。

(3)保管期限を設定する

保管期限を設定することで、残すデータ、削除するデータを客観的に見分けることができます。共有文書では、法律条文や社内規則、社内手続きなどを確認しながら期限を決定します。
保管期限を設定することで、残すデータ、削除するデータを客観的に見分けることができます。共有文書では、法律条文や社内規則、社内手続きなどを確認しながら期限を決定します。
個人文書に関しても、保存期限を設定しましょう。だいたいは1年間程度とするのが望ましいでしょう。

―データの整理は一度きりではない

(4)定期的に見直す

データの整理は一度行ったら当分やらなくてよい、ではありません。データは毎日溜まるものですし、ルールを決めても継続しなければまた前と同じ状態になってしまいます。

ですので、定期的な整理はもちろんのこと、社会情勢の変化とともに事業内容も変わることがあるので、ルールの定期的な見直しは必要です。少なくとも毎期の見直しをすることが重要です。
定期的な整理が必要です。また、ルールを決めても継続しなければ毎年、毎期見直します。

以上のような文書の管理ルールを設けることで、残すデータと残さないデータ、あるいは積極的に削除するデータの判別がしやすくなります。

残すデータ、残さないデータの線引きを考える上で重要なこと

プライベートのデータでも、仕事上のデータでも、やはり、残すデータは、今後の役に立つかどうか、必要かどうか、プライベートのデータであれば、”必要”に加え、愛着や想い出があるかどうか、だと思います。

この、役立つかどうか、必要かどうかを判断するための基準は、その人の仕事内容や組織によってそれぞれです。ただ、何らかのかたちでルールを決めないといけないのは個人でも組織も同じ。そのルールに従ってデータの整理をしましょう。

そしてこの線引きを考える上で重要なことは、普段から整理整頓が必要だということ。
個人であれば、自分が分かりやすいフォルダ分けだったり、組織であれば、会社の規則にそったフォルダ分けなどです。

この整理整頓ができれば、おのずと今後役に立つデータかどうかもすぐに区別することができるようになります。

まとめ

今回は、残すデータ、残さないデータの線引きについて検討してきました。

この線引きで重要となる共通ポイントは、整理整頓、です。ここをきちんと行うことで、”残す、残さない”の基準も明確になります。
組織も個人も、ここは同じです。そのポイントを意識しつつ、個人であればしっかりとしたmyルールを、組織であれば、法的に定められているルール、組織のルールを確認し、きちんとした定期的な整理を行いましょう。

まずは、整理・整頓、ですがその前に、“何を残すか”。ここから考えてみてもよいでしょう。

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