【寄稿】電子帳簿保存の申請件数が発表されました――急速に電子化が加速する兆し――

【執筆】長濱 和彰(SKJコンサルティング合同会社/代表業務執行社員)
コラム
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2020年10月30日に国税庁が同庁ホームページの税務統計で、2019税務年度の電子帳簿保存承認件数を公表しました。早速、その内容を報告いたします。

1.電子帳簿保存の承認件数

企業が法人税法や消費税法で7年~10年保存が義務付けられている帳簿や書類を電子保存する場合には、電子帳簿保存法に則って所轄の税務署に電子帳簿保存の承認申請を行って承認を受ける必要があります。この承認件数は毎年10月末前後に国税統計として公表されています。先日公表された2019税務年度(2019年7月~2020年6月)末での電子帳簿保存の累計承認件数は272,449件で、対前年度47千件の増加となりました。2017年度までは概ね年間で10千件程度の増加で推移していましたが、2018年度は対前年25千件増加し、更に2019年は前年度の倍近い47千件もの増加となりました。

税別の承認件数では法人税・消費税が177千件(65%)、申告所得税・消費税が63千件(23%)、源泉所得税が18千件(7%)、その他酒税等が15千件(6%)となっています。法人税・所得税・消費税に関する電子帳簿保存がほとんどを占めています。

表1 電子帳簿保存承認件数の推移(千件)

2.スキャナ保存の承認件数

次に電子帳簿保存の中に含まれているスキャナ保存の承認件数を見てみます。スキャナ保存の対象は企業が保管している請求書や領収書等の取引を証明する証憑書類や取引の根拠となる契約書類等です。2019税務年度(2019年7月~2020年6月)末でのスキャナ保存の累計承認件数は4,041件で、対前年度1,143件の増加となりました。電子帳簿保存の承認件数に比べてスキャナ保存件数は数%にすぎないため、年度末の承認数の増加を見ると2016年度では670件増、2017年度は796件増、2018年度は1,052件増、そして最新2019年度では1,143件増と、右肩上がりで申請件数が増加しています。

スキャナ保存については企業での保存要件が2016年度と2017年度に連続して大幅に規制緩和されたため、絶対数はまだ少ないながらも急速に増加傾向であることが統計データから明らかになりました。

表2 スキャナ保存の承認件数の推移

3.さらに電子帳簿申請が加速する兆候

我が国でも遅ればせながら2019年5月にデジタルファースト法が公布され、行政手続きのデジタル化方針が決まりました。また突然襲来した新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止のため在宅勤務やリモート会議等のテレワークが一般化し、企業活動全般に渡ってスマートワーク化が加速することは不可避となっています。

また既に決定している税制改正でも、2020年度の法人税申告から電子申告(e-Tax)が資本金1億以上法人に義務化されます。加えて2023年10月からは複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の要件としてインボイス請求書の保存が必要となります。インボイス請求書は、社会共通の電子フォームとして効率運用する検討が官民で進められています。

企業の電子帳簿保存と書類のスキャナ保存は円滑で効率的な企業活動のために不可欠な仕組みとなることは明らかですので、急速に申請が加速すると思われます。

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